でっかい北海道のちっちゃな町で見つける本当に豊かな暮らし

美しい風景も豊かな実りも、まちの宝。
でも、一番大切な宝ものは笑顔で未来を語り合える人たちなんです。

中富良野町は、北海道のまんなか、大自然の恵みを余すところなく享受できる富良野盆地に位置しています。美しく広がる田園地帯からは、噴煙上がる十勝岳を擁する大雪山国立公園を望むことができ、丘一面が紫色に染まるラベンダー畑で有名な観光地でもあります。
私はこの町で生まれ、この町で育ちました。町を離れたのは大学生活を送った4年間だけで、卒業と同時に帰郷し、故郷の人たちのために役立てる仕事に就く道を選びました。以来、中富良野の町と共に人生を歩んでいます。
私を故郷へと呼び戻したのは、子ども時代の豊かな自然体験、温かい人間関係の中で育ったという感覚です。大人になって町の職員になってからも、「中富良野はいいところ」という思い出の中のふんわりとした感覚は確信に変わりました。
職員時代は、さまざまな部署で経験を積ませてもらいました。町の行事や、子どもたちのスポーツイベントなどのために力を貸してくださったボランティアの皆さんとの出会い、損得抜きで力を合わせて何かを成し遂げた感動は、大きな財産です。当時一緒に活動していた人たちとは、今も大切な人の輪ができています。
「中富良野をより住みよく、もっともっと楽しい町にしたい」という夢は、町長になった今も心に強く持っています。小さい町だからこそできること、小さい町でなければできないことをひとつずつ形にしていける。それこそが中富良野の魅力だと思っています。
町を支える農業はもちろん、商業や観光を安定させ、新しい事業も育てたい。未来を創る子どもたちのために教育環境を整えて、スポーツや文化を盛んにしたい。地元の人がもっと気軽に役場に来られるように、庁舎内に地元の書家の先生のギャラリーを作りたいとも考えています。高齢者が安心して町に住み続けられるよう、医療や介護にも力を入れていきたい。やりたいことはたくさんあり、やらなければならないこともたくさんあります。
地方はどこも少子高齢化・人口減少、農産物の貿易自由化など、さまざまな課題を抱えていますが、中富良野は困難に打ち勝つ力を持っています。豊かな自然、豊富な農産物に恵まれ、多くの観光客を引き付ける美しい景観があります。そして、心温かで思いやりのある人が住む土地です。住民みんなで創意工夫を重ね、力を合わせて盛り上げていける町だと信じています。
今は地方創生の時代と言われています。地方移住への興味もかつてないほど高まっています。ゆったりとした環境で働きたい方も、自然の中でのびのびと子育てをしたいという方も増えています。「本当に豊かな暮らし」を考えたときに、北の大地のちっちゃいけれど豊かな町、中富良野のことを思い出してくださることを願っています。

(2021年11月インタビューより)

水田に立つ町長
↑稲は町章のモチーフにもなっている地域の誇り。「クリーン農業推進の町」を宣言し、土づくりにもこだわって、安全で良質な作物の生産を目指している。令和2年・3年は町内の子育て世帯に1人10㎏のお米や野菜などが配布された。
収穫した稲を掲げる人々

Profile

1966年、中富良野町の米農家の長男として生まれる。中富良野中学校、旭川西高校理数科を経て、北海道教育大学旭川分校を卒業。中富良野町役場では税務課、教育委員会、産業課、総務課、福祉課、産業建設課などを歴任。総務課長だった2019年、木佐剛三・前町長の任期満了に伴い、役場を退職し町長選に出馬。9月23日より現職。町長就任後、産業建設課を農林課・企画課・建設水道課に分割する改革も行う。写真は役場の企画課職員たちと。

中富良野町長

小松田 清(こまつだ きよし)

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