畑と食卓の幸せな距離感

From the Vineyards and Winteries

夏は30度を超える酷暑で、冬はマイナス25度を下回る厳寒、ともすれば辛い気候ととらえられがちな内陸性気候の土地、富良野盆地。
でも、この気候こそが中富良野の農業を支えるパワー。
年間の寒暖差、1日の寒暖差が野菜や果物の旨味と甘味を強くし、厳寒の冬が減農薬の安全な農作物の栽培を可能にしています。

消費者との交流にも取り組みまちと農業の繁栄目指して

塩尻農園
塩尻一馬さん・優子さん

「農家は初代が入植したら2代目が基盤を作り、3代目が維持して、4代目が繁栄させるもの。今までと違うこともやっていきたい」。
そう語る一馬さんは、塩尻農園の4代目。農作業にドローンを取り入れたり、トラクターメーカーと自動運転機能について情報交換をしたりと、最先端の技術に目を向けています。
さらに毎年、作物の生育状況や気象情報をしっかりと分析。冬のうちに家族と「植え付け会議」を開き、作業量も考えながら作物ごとに栽培面積を調整するなど、年間を通して理論的に生産計画を進めるのは、21世紀の農業者ならでは。「農業に必要なのは計算による確率の見極め。そして運」と笑います。
高校時代、馴染み深い農業を将来の進路に選んで深川市の拓殖大学へ進学し、さらにアメリカのオレゴン州で研鑽を積んだ一馬さん。その経験から農業の奥深さを実感し、さらに、まちの基幹産業の一員として、地域を盛り上げたいとも話します。
仕事の効率を上げて時間に余裕ができた分、新たな取り組みにも挑戦。昨年は全国の農家や漁師と消費者を結ぶオンラインマーケットに参加。町内では農協青年部の直販イベント「軽トラ市」の初開催に力を尽くしました。普段は採れたての野菜を直接手渡しする機会がない地元の人たちに「来年もやって」「年に何回でも歓迎するよ」と喜ばれ、やりがいを感じたという一馬さん。その瞳には、農業の明るい未来が映されているようです。

ラベンダーオイル
↑昨年スイカを購入してくださったお客さまから可愛らしいお写真をいただきました。
ドライフラワーやポプリ

塩尻農園 塩尻一馬さん・優子さん

東京で会社員生活を経験した妻の優子さんは、消費者視点の販売戦略立案にも協力します。ご夫婦の目標は、糖度の高い自慢のスイカの知名度を上げること。ふるさと納税の「お礼の品」としても全国に届けられています。

主な栽培作物:スイカ、スイートコーン、じゃがいも、麦、ビート

藤田丈さん・恵美さん

畑と食卓の幸せな距離感

藤田農園
藤田丈さん・恵美さん

藤田農園4代目の恵美さんは、3人姉妹の次女。子どもの頃から農作業を手伝い、家族で力を合わせて家業を営んできました。調理師を目指して一度は札幌市へ出たものの、お母さんの病気やお父さんのケガが続き、実家を支えるために中富良野町へUターン。小学生の頃おばあさんと一緒に畑の一角を任せてもらい、農作物を育てる楽しさに目覚めた記憶がよみがえりました。
「農家はやればやっただけ成果が出るのが楽しいです。父に農作業を教わっていて叱られると、なにくそ!って燃えますし」と快活に笑う恵美さん。粘り強い性格が農業に向いているようです。産直売場で野菜を並べていると、買い物客に「いつも食べているよ」と声を掛けられることがとても励みになると言います。メロンの品評会で表彰された経験も少しずつ自信をつけてくれました。丹精込めて作ったメロンは、今やふるさと納税の「お礼の品」としても出品され、多くのお客さまに選ばれています。
「おいしいものを作りたい。売る人の生活を支え、食べる人に喜んでほしい」と願う熱い思いが、1日も気を抜くことができない農家の仕事に向き合う原動力になっています。
つい頑張り過ぎる恵美さんを見守りアドバイスをするのは、頼れる盟友として支えてくれる夫の丈さん。お婿さんとして藤田家に入り、田植えもハウスもと大活躍。収穫で多忙な秋も澄んだ空気や美しい青空に、自然の中で働きながら季節を感じる喜びを味わっています。

恵美さん
↑「おしゃれに農業したい」と作業用の帽子は恵美さんが自分で手作り。農家仲間のお嫁さんからも好評で予約待ちになるほどの人気です。

藤田農園 藤田丈さん・恵美さん

今は、「夏の行楽よりもメロンの生育状態が気になる」という農業中心の生活。収穫できないほど種苗を広げないように、そして恵美さんが過労にならないように、ご主人の丈さんが見守りサポートします。

主な栽培作物:メロン、カボチャ、お米

藤田丈さん・恵美さん
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